英国。色々あるけど住んでます。

イギリス生活の日記とか回顧録みたいなもの

イギリスの魔女の蠱毒

私の義母はわりとエキセントリックな人です。

The 姑!って感じではなく気さくでいい人なんですが、ドジっ子というかちょっとズレてるというか、色んな意味で私のツボにハマってる人ではあります。

なんせ逸話がたくさんありすぎてどれから紹介しようか悩んでいたのですが、オットが風邪をもらってきたので関連したエピソードをひとつ。

イギリスに移住してきてから2回目くらいのクリスマスでした。

2人で義実家にお邪魔してクリスマスを過ごしていたんですが、行く前からオットが微妙に調子が悪いとゴネていました。

風邪薬を途中で買っていこうと言ったのですが、実家に着けばあるからいい、の一点張りで、本人がそう言うならと私もそれ以上は何もしませんでした。

義実家に到着し、久しぶりなので義父が早速ビールなんて出してきて、オットも1杯目は飲んでなんだかんだ話し込みました。

風邪っぽいことはここで言ったのですが、話が弾んじゃって薬の催促はせず、そうこうしている間に義弟くんが到着し、やっぱり話し込んでしまいそのままクリスマスディナーの席に着くことになりました。

食事をいただいてさらにお酒が加わって、オットはちょっと持ち直したように見えたのですが、デザートのあたりでやっぱりぐったりし始めました。

義母に風邪っぽいからお薬ないですかね?と聞いてみると、確かリビングの棚にあったはずだからちょっと待ってて、と取りに行ってくれました。

シロップタイプの風邪薬をスプーンと一緒に持ってきてくれて「これを飲んでおきなさい」と優しい母親の顔です。

オットもそのまま受け取ってスプーンに薬を取りペロッと飲み込みました。

ご飯も食べたし、あとはもう暖炉の前であったかくしておけば明日にはよくなってるでしょ、と、お開きの体制になったのでテーブルの片付けに参加しようと立ち上がったところで、義弟くんが薬の瓶を眺めながら「この薬、12年前に期限切れてるけど?開封されてたってことはバクテリアだらけじゃん」と、いたずらっ子の笑顔で夫に告げました。

それを聞いたオットは可憐な乙女のようにサーッと青ざめ「もう寝る…」と、たぶん風邪のせいか、目を潤ませながらベッドに入ってしましました。

当の義母は「あら〜、でも風邪の菌をやっつける薬なんだから他の菌も死んでるわよ」とあまり気にしていない様子でした。

義父と義弟に「いいからそれは捨てろ」とツッコまれても肩をすくめるだけで反省ナシですよ。

とりあえず食器の片付けをささっと済ませてオットの様子を見に行くと、もうすでに布団に丸まって寝ていました。

翌日、オットの方が先に起きて朝ごはんを食べていたのですが、なんか予想外に晴々した表情で風邪はすっかりよくなっていました。

きっとあの小さな瓶の中ではバクテリア同士の蠱毒が繰り広げられていて、生き残った最強のヤツが風邪菌をやっつけてくれたのかもしれません。

知らんけど。

↓同じ「壺モノ」ならこっちの方がいいな↓