英国。色々あるけど住んでます。

イギリス生活の日記とか回顧録みたいなもの

永住ビザ持ち≠イギリス人

日本人の方がイギリスでご活躍なさっているという記事を見つけて読んでみました。
リナ・サワヤマさんとおっしゃる歌手の方だそうで、記事のタイトルに「差別を乗り越え〜」とあったので気になったというのもあります。

この時期にこれを書くのはちょっと躊躇われるのと、何よりご本人が気に病んでらしたら指摘するのもなんか申し訳ないですが、書いてある事柄は人種差別じゃないよ、誤解だよ、とお伝えしたく。

なんで本人が言ってるのに他人の私がそう判断したかと言いますと、記事の中に「無期限のビザ」を持っててロンドンで育ったと書かれていることです。これはつまり「無期限のビザを持っている外国籍の学生」としてケンブリッジに通ってたってことですよね?

留学生のニュースレターに記載されたり、毎年わざわざビザをチェックされた、というのを差別と分類しているようですが、いつからケンブリッジに入学されていつまで在籍なさってたのかは知りませんが、イギリスへのビザのシステムが2008年から変更になり、大学もスポンサー・ライセンスを取得しないと留学生を迎えることができなくなったわけですよ。で、スポンサー・ライセンス保持の条件として、Confirmation of Acceptance for Studies(CAS)を発行した者のパスポート期限のみならず出欠確認などなどを「年に1回は」行うことが義務付けられてるんです。サワヤマさんはIndefinite Leave to Remain(永住権)をお持ちだとすると、学生ビザではないものの結局のところ「非イギリス人」でケンブリッジにご入学されたことになりますね。

で、CASを発行した人以外の外国人のパスポートと滞在ビザも確認しないと、例えばケンブリッジが発行したCAS以外のスポンサーがいる外国人学生が失踪した、違法に働いていた、などなど、ルール外のことをされてしまった場合、Home Officeに目をつけられて下手したらライセンス剥奪なんてことになっちゃうんで大学も死活問題なんですよ。

駐在員の配偶者や子供が学生として通うというケースや、他の大学に留学している配偶者がいてその扶養として入国、入学している学生さんもいるかもしれない。でもケンブリッジがスポンサーをしてない外国籍の学生はめんどくさいから無視しちゃえってできないんです。

その上あらゆる差別を禁止している法律もあって色々矛盾しちゃうので、もう十把一絡げに「イギリス国籍を持ってない人」は全てチェックするという2度手間3度手間が発生したわけです。
きっとね、大学の担当者も「あ〜めんどくさッ!この子は永住者なんだからやんなくてもいいじゃん!」なんて心の中でぼやきつつ確認作業をしてたと思いますよ。もしくは「無」の境地で。

ご本人は子供の頃にIndefinite Leave to Remainを取得して、きっと今までビザなんてさほど意識してこなかったでしょうから知らなくても不思議はないですが、少なくとも書かれている事例に関しては差別ではないと、もしイギリスの大学に通ってて書かれているような対応をされた人がいた場合のご参考まで。

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