平凡な生活をしていると語れるほどの楽しいことなんてそうそう起きないので、困ったときの旅行ネタを。
これまたバルセロナが好きになったという話です。
オットの友人Nさんが40歳になったので大々的なパーティ兼友達とのバルセロナ旅行をするという企画が持ち上がり、うちも家族旅行ついでに行って、飲み会の方はオットだけ参加しようということになりました。
Nさん他数名は彼らでホリデーアパートを借りて、我が家は別の場所にアパートを借りました。
うちが借りたアパートの大家さんは英語ができないので、代理で姉の私が来ましたー!とやたら元気なおばさまが設備を一通り説明してくれて、大家さんの電話番号と「でも英語でなら私の方がいいわね」と彼女の電話番号もくれて、ついでに彼女のお気に入りのバルとパン屋さんも教えてくれて非常に快適に過ごしていました。バルセロナの人はやっぱり親切です。
このアパートは建物の3階にあって、ふるーいタイプのエレベーターがついていました。ちょっと古びた鉄の風合いがヨーロピアンな雰囲気で素敵だし、何よりベビーカーがあったので非常に便利に使わせていただきました。
そして滞在4日目くらいだったでしょうか。
オットが予定していた飲み会に行き、私と子供たちはアパートでお留守番という日で、この日の夕飯は上の子がご近所で売っているフィッシュフライを希望していたので揃って買いに出かけました。
1階についてエレベーターのドアをよっこらしょと開けたら、ドアの向こうにはめっちゃ強面のおじさま数名がいて一斉にこちらを振り返ってきました。
とは言え知り合いもいない土地で、別に私に用があるわけじゃなかろうと素通りしようとしたら、一番偉そうで一番怖そうなおじさまがスペイン語で話しかけてくるじゃないですか。
スペインの人って基本早口なのに、このおじさまはゴッドファーザーかってくらいゆっくり静かにお話になるのですが、なんせ何を言っているかわからない。
怒らせるのは得策じゃないと判断し、頑張って覚えたスペイン語を披露してみました。
「Lo siento, no lo se, hablar ingles?(ごめんなさい、わからないです。英語は話せますか?)」
逃げるためだけに、スペイン語のみならずフランス語とドイツ語でも覚えた文章です。
それを聞いたおじさまが眉をしかめてクイッとアゴで誰かに合図を出したと思ったら、おじさまの背後から20代くらいの若いお兄さんが飛び出てきて「あ、消される?」とか思っちゃいましたが、お兄さんは笑顔で「エレベーターの点検に来たんだけど、管理人室の鍵を持っている人を知らないか?」とカタコトの英語で聞いてきました。
こちとら旅行者で全くわからないので、私から大家さん(姉)に電話をして代わってもらって何やら話をつけたようでひとまず解決できました。
おじさまが電話を返してくれた時、それまで仏頂面だったのにうっすら微笑んで「グラシアス」とほっぺにキスをくれた時点で惚れましたね。
ラテンの挨拶ってずるいわぁ。
↓渋い…マーロン・ブランドが輝いてる…↓