前回からの続きです。
友人とバルセロナ観光バスのチケットを買ってあちこちを巡りました。
これは決まった路線ならどこでも乗り降り自由な観光客向けの二階建てバスです。
最初の方はきゃっきゃっと屋根のない二階で観光を楽しんでいたのですが、なんせ暑いし熱中症にもなりかけたということで、下の冷房の(若干)効いている方で移動することにしました。
乗り込んでしばらくすると私も友人も、ものっすごい眠気に襲われてうとうとし始めてしまいました。
旅行の移動で寝ちゃイカンというのは鉄則ですが、寝ちゃったもんは寝ちゃいました。
時間にして20分ほどだと思いますが、目を開けると乗客は私と友人だけですが、2つ前の席にガイドさんが座ってこちらを微笑みながら見ていました。
「外は暑いし疲れちゃったんでしょ?日本人よね、あなた達。よくあるのよねー」
このバスで寝てしまう日本人は後を絶たないようです。
ガイドがいるからまだマシだけど、スリに会うことだってあるんだから気をつけなさい、というお説教はしっかりといただきました。
向かっていたのは古い修道院で、建築やらなんやらが有名な所です。
しかし到着したのが一般入場が終わる20分前で、受付でどうしようかと話していたら、入場券売り場のおじさんが「30分で戻ってくるように」とぶっきらぼうにいいながらゲートを開けてくれて、しかも入場料も取らず、おじさんは事務所に入っていきました。
ほぼ貸し切り状態で拝観し、シスターに笑顔で手を振ってもらったりして思いがけずに満喫してしまいました。
なんだかんだ楽しく過ごしてついに帰りの飛行機に乗ることになりました。
3人並びの席で、私と友人は真ん中と通路側だったのですが、窓際の席には若いお兄さんがすでに座っていました。
飛行機が滑走路に入ると、お兄さんはいきなり嗚咽を漏らしながら泣き始めました。
友人と顔を見合わせて、とりあえずティッシュを渡しながら声をかけてみました。
お兄さんはティッシュを受け取ると「家族と離れるのが辛くて…」とまた泣き始めました。
ラテンの人は家族のつながりが強いもんね、と、彼のことはそっとしておくことにしたのですが、軽食のサービスが始まると泣きながらもムシャムシャと食べ始め、食べ終わった後もまだメソメソ。
いいかげんちょっとイラッとし始めたのですが、泣いているだけで実害はないのでそのまま放っておきました。
イギリスに到着し私と友人は入国管理のEU外の列に並んだのですが、ほとんどの乗客がEUの人だったので我々の列はさほど時間がかからず入国できました。
すると同じタイミングでさっきのお兄さんが出てきたのですが、どうやら彼女らしき人が迎えにきていたようで抱擁を交わしながら「君に会えなくて寂しかったよ」なんてさっきの態度とは裏腹なことを言っているのもラテン野郎ですね。
ものすごく運が良かったり、たまたまいい人たちに巡り会えただけだというのは自覚していますが、とにかくいい経験「しか」しなかったスペインという国がこれで大好きになった、というちょっと自慢話です。
↓美味しいんですよねぇ…↓