日本にいる間、オットの友人が入れ替わりで遊びに来ることがよくありました。
いわゆるバックパッカーであっちこっちまわって、日本に知り合いがいるから立ち寄ってみよう、みたいなノリなので、日本食もいろいろチャレンジしてみたりこれといって偏見はあまりない人たちだったので、こちらも楽しくいろんなところに連れていけたのですが、中にはちょっとばっかり?な人もいたのでご紹介します。
オットの地元の友人で、イケメンなのに身長が残念なトム君が失恋記念で日本に遊びに来たことがありました。
彼女と住もうと家を買う手前でフラれたらしく、せっかく12時間もかけて日本に来たのに割と引きこもりがちでした。
なんかもう日本語がめんどくさい、人と会うのもめんどくさい、くらいになってきてて宿を提供しているオットもだいぶうんざりしていたので、いっそのこと荒治療で六本木にでも連れて行こう、ということになりました。
オットの学校の先生も二人ほど参加して英語のみの環境にしてみたのですが、一応話の輪には入るものの、質問されないと自分から何かを話すということもないという感じ悪い人で通していたので、二人の先生はもう帰るね、と早めに行ってしまいました。
我々も帰りたかったのですが、感じ悪いくせに他の店にも行きたいとか言い出したので、適当なバーに入ってお酒を与えて放置気味にしていました。
そのお店には、音は出していないもののテレビがカウンターのところに備え付けてあって、C N Nだかのアメリカのニュースが映っていたので、トム君はちびちび飲みながら画面を見ていました。
終電に近づいてきてそろそろ帰らないとね、などと話をし始めたところ、アメリカ人のお客さんが「おい、テレビの音声入れてくれ!」と何やら焦った風な言い方でお店の人に声をかけました。
なんだろうと思って画面に目をやると、アメリカがイラクに侵攻したというニュースが速報で流れていました。
トム君は食い入るようにじっと画面を見つめていたのですが、突然ぼそっと「…I got to go…」と呟きました。
え?とオットが聞き返したら、今度ははっきりと「I got to go!」と答え、やおら立ち上がったかと思ったらひとりでバーを飛び出し、こちらも慌てて追いかけたのですが、時すでに遅く六本木の街角に消えてしまいました。
土地勘ないし、電車の乗り換えとか大丈夫かなぁ?などと少々心配にはなったものの、相手も成人男性だし日本だったら身の危険はそれほどないだろうとオットと合意し、正直めんどくさくなってたので放置して帰ってしまいました。
さて、翌日一応トム君の安否確認のため電話をしてみたら、昼前にご機嫌で帰ってきて、今は昨日拾ってくれた日本人のお兄さんにお礼方々ご飯をご馳走しにひとりで出かけてる、とのことでした。
何があったのかはオットも不明なようですが、なんか吹っ切れたようだとのことだったので良しとしました。
なお、本人はニュースを見て飛び出したことなどこれっぽっちも覚えてなかったそうです。
お酒って怖いね。
おまけ:
challenged by gravity(重力に挑戦を受けてる)、日本語口語にすれば「身長が残念な人」と言うこの「challenged by」の言い回しがイギリスっぽくて好きです。
↓ピンヒールと同じ高さと思うとびっくり↓