英国。色々あるけど住んでます。

イギリス生活の日記とか回顧録みたいなもの

寿司屋の3階のレアキャラ

結婚前にオットが日本で住んでいたのは、英会話学校が用意してくれたワンルームのアパートでした。

学校から徒歩で10分くらいの、多分10畳くらいはあった結構広めのそこそこいい部屋でした。

地上階がお寿司屋さんで、5階建のアパートで各階ふた部屋ずつという環境も悪くない感じです。

日曜日は学校がお休みなので、その日は土曜の夜からお泊まりして、日曜の昼過ぎにオットはヘッドホンをつけてゲームを、私は本を読んでいました。

するとドアベルが鳴り、誰かやってきました。

同じ学校の先生も近所なのでたまに遊びに来ることもありなんの警戒心もなくドアを開けると、そこには仙人のように真っ白な長い髭を蓄えていて、着ているものは綿の開襟シャツにスラックスという、絵に描いたような高齢男性が立っていました。

配達とかでもなさそうですし、新聞屋さんにもテレビ屋さんにも見えないので戸惑っていると仙人が「隣のものだけどね、さっきからすごくうるさいんだよね」とおっしゃいました。

さっきから…?でも私もオットもひたすらだらけて過ごしてますけど?

そう思ったものの、トイレに行ったりコーヒーを淹れたりはしてたので、歩く音が煩かったとかそういうことかとも思い、ひとまず低姿勢で「それは失礼しました」とか回答したと思います。

すると仙人は「次うるさかったら壁を叩くから、それでわかるでしょ?とりあえず気をつけてよね」とおっしゃい、こちらの返事を待たずに隣の部屋に戻られました。

オットが不思議そうにしているので説明をし、うるさいっていうなら大人しくしようねと、再度オットはゲーム、私は読書に戻りました。

15分くらいしてから、お互い座ったまま動いていないのですが、隣の部屋の壁からコンコンコンコン!と聞こえてきました。

オットはヘッドホンをしていて聞こえていないのでお隣さんが壁をノックしていることを教えると、オットもそれを確認し、二人で首を傾げました。

その日を境に、オットが一人だけの時も、朝だろうと夜中だろうと、コンコン壁が叩かれるようになりました。

オットがそれを学校のオーナーに伝えると、なぜかオーナーがブチ切れて別のアパートを契約してきて引っ越すことになりました。

引っ越しをしてからしばらくして、オットとそのアパートの前を歩いていると仙人が向かいから歩いてきました。

仙人は私たちを見つけると「引っ越しちゃったの?なんで?仲良くできると思ったのに」と本当に残念そうにおっしゃいました。

って、ここまで書いてて思ったけど、これってレアキャラというよりヤバい物件でしたね。

ちなみに仙人は別れ際に、買ってきたばかりであろう冷えたヤクルトを私とオットに1本ずつくれました。

 

君子危うきに近寄らず− A wise man keeps away from danger という英文を紹介しようと思って確認のためググってみたら、翻訳さんが「Don’t get close to Kimiko」(君子に近づくな)って出してきたのをオチに使わせていただきます。何やらかしたんだキミコ…?

↓こんな感じの仙人↓